塗装治具の剥離方法は?
ハンガー・吊り具の剥離は?

塗装治具剥離剤とは?

塗装治具剥離剤とは、塗装時に使われる塗装治具に付着した塗膜を剥離するための治具再生用薬液です。

塗装治具とは?

塗装治具はハンガーとも呼ばれ、電着塗装時に部品を吊るして固定する治具です。
電着塗装を行う際、塗装用治具には通電性能が求められます。治具の材質は主に鉄が用いられています。

電着塗装とは電着塗料(プラスやマイナスに帯電しているエポキシ樹脂、アクリル樹脂)を入れた液に部品を入れ、部品に電気を通す事によって塗装する方法です。均一な塗膜を得られるため、様々な分野で行われています。プラスチックスは電気を通さないため、電着塗装は出来ません。

塗装治具の剥離が必要な理由

電着電塗装中、塗装治具にも同時に塗膜が付いていきます。

やがて、塗装治具と部品の接触不良によって、十分な電気が流れず、必要な膜厚が得られない「通電不良」が発生します。

通電不良を防止するため、一定期間、塗装治具を使った後、塗膜の剥離処理が必要となります。
通常、剥離処理は薬液、ショットブラスト、熱分解炉等で行われています。

塗装治具の剥離方法

剥離液を使う場合

1.剥離液を剥離槽に入れ、加温後(常温~80℃)、治具に部品を入れ、浸漬する。

加温しない場合、剥離時間が長くなります。高温使用する場合、定期的に水分管理する必要があります。
超音波(US)洗浄機を使うと剥離時間を大幅に短縮出来ます。

2.剥離物を引き上げ後、水で濯いで(水リンス)、付着した剥離剤を除去する。

3.水分を取り除き、乾燥させる。
塩化メチレン系の場合、水リンスは省略出来ます。

塗装治具剥離剤を使う時の注意点

高温使用する場合、含有している水分が蒸発し、液バランスが崩れていきます。液管理が必要となります。

減少した分の水を補給する事で元の液バランスに戻す事が出来ます。

太陽化工の塗装治具剥離剤の特長

太陽化工の塗装治具剥離剤では、剥離効果を上げるため、様々な成分を適正に配分し、短期間で剥離出来るよう処方を組んでいます。溶剤で塗膜を膨潤させ、アルカリビルダーで切断します。

剥離剤の種類は豊富で、劇物法で規制されている物、マイルドな中性タイプの物など様々な種類があります。弊社では、お使いの塗料に適した剥離剤を提案しています。

太陽化工の塗装治具剥離剤の種類

太陽化工の塗装治具剥離剤の種類
種類 長所 短所
塩化メチレン系(R-30Y) 強力な剥離力がある。水リンス不要。

化審法に該当する。揮発性のため、換気装置が必要である。

中性(R-4052C) アルミやマグネシウムなど、ダメージを受けやすい合金でも使用可能。

他のタイプに比べ、剥離力が劣る。

劇物アルカリ性(R-4260) 強力で最も剥離力がある。

劇物タイプより剥離力が劣る。

劇物酸性(R-4520) 塗料の種類によっては酸性が効果的な事がある。

皮膚に対して、危険性が高い。劇物法に該当するため、保管場所に制限がある。

<主な成分>

アルコール・グリコール系溶剤、塩化メチレン、有機アルカリ剤、無機アルカリ剤、有機酸、界面活性剤、キレート剤、(水)

(全てを含んでいる訳ではなく、よく使われている成分を列挙しました)

塩化メチレン系(R-30Y)
長所

強力な剥離力がある。水リンス不要。

短所

化審法に該当する。揮発性のため、換気装置が必要である。

詳細はこちら
中性(R-4052C)
長所

アルミやマグネシウムなど、ダメージを受けやすい合金でも使用可能。

短所

他のタイプに比べ、剥離力が劣る。

詳細はこちら
劇物アルカリ性(R-4260)
長所

強力で最も剥離力がある。

短所

劇物法に該当するため、保管場所に制限がある。

詳細はこちら
非劇物アルカリ性(R-4055D)
長所

バランスが取れているので、最も推奨する。

短所

劇物タイプより剥離力が劣る。

詳細はこちら
劇物酸性(R-4520)
長所

塗料の種類によっては酸性が効果的な事がある。

短所

皮膚に対して、危険性が高い。劇物法に該当するため、保管場所に制限がある。

詳細はこちら

<主な成分>

アルコール・グリコール系溶剤、塩化メチレン、有機アルカリ剤、無機アルカリ剤、有機酸、界面活性剤、キレート剤、(水)

(全てを含んでいる訳ではなく、よく使われている成分を列挙しました)

塗装剥離剤の処分方法

塗装治具剥離剤のSDS、塗料のSDSを産業廃棄物業者に提出し内容を確認してもらい、剥離廃液、リンス廃液を引き取ってもらいます。