防錆洗浄剤とは?成分・種類・使い方

防錆洗浄剤とは

鉄部品は結露によって錆びやすく、部品輸送時、防錆処理が欠かせません。防錆処理は防錆剤(油性)が一般的ですが、洗浄、水リンス、乾燥、防錆剤塗布と工程数が多く手間がかかります。

防錆洗浄剤はその様な手間をかけず、洗浄工程と防錆工程を同時に行う事の出来る薬液です。

短期防錆用の防錆洗浄剤は以前からありましたが、弊社では新たに長期防錆可能な防錆洗浄剤を開発しました。

鉄の錆びるしくみ

酸素の溶けた水が鉄の界面に接触すると以下の反応によって鉄は錆びます。

錆を防止する方法

何らかの方法で酸素を含む水が金属面に接触しないようにする必要があります。

短期防錆

①フィルムを貼る。個別梱包する。

② 乾燥剤で湿度を下げて結露を防止する。

③ 酸素を取り除く。

④ 防錆剤(水系)、防錆洗浄剤を塗る。

防錆洗浄剤は洗浄後、乾燥だけで防錆出来るので工程が少なくて済む。ただし、防錆期間は短い。

長期防錆

①クロムメッキする。

②塗装する。

③防錆剤(油性)を塗る。

※防錆剤(油性)の工程は、洗浄、水リンス、乾燥、防錆剤塗布と作業量が多いです。
又、水リンス工程を含むためリンス排水の処理が必要となります。 引火性があり、取り扱いに注意が必要です。

長期間防錆効果の維持できる防錆洗浄剤が求められています。

洗浄のしくみ

油汚れと水はその接触面(界面)で反発しあい、通常は混じり合いません。

油と水の両方の性能を持った界面活性剤を添加すると、この界面に作用し、反発力をなくす事が出来ます。

反発力がなくなると油汚れと水は簡単に混じり合います。これが界面活性剤で汚れが取れるしくみです。

実際には洗浄剤はアルカリ剤、キレート剤、溶剤など洗浄助剤との併用により、汚れの分解力、溶解力を得て、より強い洗浄力を持つことになります。

洗浄温度について

一般的にイオン性界面活性剤は温度が高い程、水に溶けやすくなりますが、ノニオン系界面活性剤は温度が高い程、水に溶けにくくなります。

親水基にゆるく結合している水分子が温度上昇によって徐々に外れて行くためです。

そのため、ノニオン系界面活性剤は、一定の温度以上になると白濁し、分離してしまいます。この時の温度を曇点と言います。

洗浄力は曇点の手前付近が最も高くなると言われています。又、曇点以上では泡は減少していきます。

弊社の防錆洗浄剤(A-8900)は洗浄成分、防錆成分ともにノニオン系界面活性剤を使用しています。

上記の理由により、防錆洗浄剤(A-8900)は曇点を持つため、高温使用はできませんが、曇点付近で洗浄すれば十分な洗浄力を持ち、起泡による装置トラブルも起こりにくくなります。

弊社が販売している防錆洗浄剤の成分・種類・使い方

何らかの方法で酸素を含む水が金属面に接触しないようにする必要があります。

長期型防錆洗浄剤 (A-8900)

防錆用のノニオン界面活性剤を数種類配合しています。

・洗浄用は表面張力を下げる力の強いノニオン界面活性剤を使用しています。

・簡単に汚れを水に分散します。

・防錆用のノニオン活性剤は親水基に窒素が付いているタイプです。

・この窒素部分が金属表面に強固に吸着する事で金属面は水分と接触しません。長期間、防錆効果が維持されます。

使い方

使用濃度: 3~10%希釈

使用温度: 常温~50℃

洗浄後は水リンスせず、液が付いたままエアプロー等で鉄部品を乾燥させて下さい。

シャワー洗浄用防錆洗浄剤(A-8700)

泡切れの良いノニオン系界面活性剤を使用しています。シャワー洗浄に適しています。

以下の反応により、リン酸第二鉄が界面に生成し安定化します。

使い方

使用濃度: 3~10%希釈

使用温度: 常温~70℃

洗浄後は水リンスせず、液が付いたままエアプロー等で鉄部品を乾燥させて下さい。

※両製品とも界面活性剤、キレート剤、アルカリ剤、水溶性溶剤等を配合していて、十分な洗浄力を持ちます。

防錆剤(X-813、X-815A、Ⅱ-MD)

弊社では防錆剤(油性)もラインナップしています。

使い方

使用濃度: 原液

使用温度: 常温

引火性が有りますので、防爆が必要となります。